Google AdSenseのMultiplex広告では、2026年6月23日から広告リクエストの数え方が変わりました。変更前は、複数の広告枠を含むグリッド全体を一つの広告リクエストとして数えていました。変更後は、グリッド内の広告をそれぞれ一つの広告リクエストとして数えます。
この変更でMultiplexの広告リクエストは増えます。しかし、Google公式は、合計インプレッションと収益には大きな変化が見られない可能性が高いと説明しています。つまり、レポート上の広告リクエストが急増しても、アクセス、広告表示、収益が同じ割合で増えたとは限りません。
本記事は2026年7月24日に、AdSense公式お知らせ、Multiplex広告リクエスト集計変更、公式用語集、レポート定義、Multiplexの説明を再確認した記事です。AdSenseへのログイン、設定変更、広告コード変更、公開、デプロイは行っていません。
先に結論
2026年6月23日をまたいでMultiplexを含むレポートを見るときは、広告リクエスト系の指標を同じ定義の連続時系列として比べません。境界日を注記し、6月22日以前と6月23日以後を別区間に分けます。
| 判断したいこと | 主に見る指標 | 6月23日をまたぐ比較 | 理由 |
|---|---|---|---|
| サイトの閲覧量は増えたか | ページビュー | 条件をそろえれば継続比較しやすい | Multiplexのリクエスト計数そのものではない |
| 広告が実際に表示された量は増えたか | インプレッション | 同じレポート条件で継続比較しやすい | 公式は合計値に大きな変化を見込みにくいと説明 |
| 収益は増えたか | 推定収益 | 同じ通貨・期間・条件で継続比較しやすい | リクエスト数だけからは判断できない |
| リクエスト機会は増えたか | 広告リクエスト | そのまま比較しない | グリッド単位からスロット単位へ定義が変わった |
| リクエストに広告が返った割合は変わったか | カバレッジ | そのまま比較しない | 分母となる広告リクエストの数え方が変わった |
| 1リクエスト当たりのクリック率は変わったか | 広告リクエストCTR | そのまま比較しない | 分母が新旧で比較不能 |
| 1,000表示当たりの収益性は変わったか | インプレッションRPM | 条件をそろえて確認する | 分母がインプレッションである |
見る順番は、定義変更の有無、Multiplexの使用有無、日付、フィルター、ページビュー、インプレッション、推定収益、RPM、クリック、CTR、カバレッジです。先にリクエスト増だけを見て「配信が増えた」「機会損失が増えた」「収益が落ちた」と決めると、定義変更を実績変化と取り違えます。
AdSense全体の2026年7月更新も合わせて確認したい場合は、AdSense 2026年7月更新の影響と確認手順を参照してください。CPC、Page RPM、セグメント、対照期間を含む検証方法は、AdSense CPC変化の原因を検証する方法で詳しく整理しています。
何が変わったのか
Google公式の説明は簡潔です。従来、Multiplex広告ユニットのグリッド内に複数の広告があっても、一つの広告リクエストとして数え、各スロットに対応する複数のインプレッションを記録していました。2026年6月23日以後は、グリッド内の広告をそれぞれ独立した広告リクエストとして報告します。
表1: 変更前後の計数単位
| 項目 | 2026年6月22日以前 | 2026年6月23日以後 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| Multiplexグリッド | 一つのリクエストとして報告 | グリッド内の各広告を個別リクエストとして報告 | 同じ画面表示でもリクエスト数が増え得る |
| 広告リクエスト | グリッド単位 | スロット単位 | 新旧の絶対値を直結しない |
| マッチした広告リクエスト | 旧リクエスト定義に依存 | 新リクエスト定義に依存 | 件数と比率の両方に境界線を入れる |
| 広告リクエストCTR | 旧分母で算出 | 新分母で算出 | CTR低下をクリック減と即断しない |
| カバレッジ | 旧分母で算出 | 新分母で算出 | 低下を配信障害と即断しない |
| 合計インプレッション | スロットごとに記録 | スロットごとに記録 | 公式は大幅変化を見込みにくいと説明 |
| 収益 | 実際の配信成果に基づく | 実際の配信成果に基づく | 公式は大幅変化を見込みにくいと説明 |
Multiplexは、複数の広告をグリッドで表示するネイティブ広告です。GoogleのAbout native adsはMultiplexをネイティブ広告形式の一つとして挙げ、About Multiplex Auto adsはページ内にグリッドとして現れる形式と説明しています。
ここで重要なのは、「広告の表示方式が変更された」と「レポートでの計数単位が変更された」を分けることです。今回確認した公式発表は広告リクエストの報告方法を変更するものです。グリッドの配置数、広告の選定、単価、クリック率、収益を直接変える因果までは示していません。
広告リクエストとインプレッションは同じではない
公式ヘルプでは、広告リクエストはサイトが広告の配信を要求したときに数えられ、広告が返らない場合も含むと説明されています。未一致広告リクエストの説明では、広告が返った要求をマッチしたリクエスト、広告が返らなかった要求を未一致リクエストとして区別しています。
インプレッションは、広告が実際に表示側へ進んだ量を見る指標です。一つの広告リクエストから、広告ユニットの大きさや利用可能な広告に応じて、ゼロ、一つ、複数のインプレッションが生じることがあります。この関係はAdSense Management APIの公式Metric定義にも明記されています。
表2: よく使う指標の役割
| 指標 | 答えられる質問 | 答えられない質問 | 6月23日をまたぐ注意 |
|---|---|---|---|
| ページビュー | 広告のあるページが何回見られたか | 何個の広告スロットが表示されたか | Multiplexだけの定義変更とは分ける |
| 広告リクエスト | 広告を求めた報告上の回数 | 実際に何個表示され、いくら稼いだか | 計数単位が変わったため直結不可 |
| マッチした広告リクエスト | 広告が返ったリクエスト量 | 表示完了や収益額 | リクエスト定義の影響を受ける |
| インプレッション | 広告表示の量 | ページ閲覧数や確定収益 | 同一条件で実績確認に使う |
| クリック | 広告クリックの量 | クリックの価値や有効性の確定 | 少数では割合が大きく動く |
| 推定収益 | 期間中の推定収益 | 最終的な確定受取額 | 同じ通貨・期間で確認する |
| カバレッジ | リクエストに広告が返った割合 | ページ体験や収益の全体像 | 分母変更があるため境界を分ける |
| RPM | 1,000単位当たりの推定収益 | 将来の収益保証 | 何を分母にしたRPMかを明記する |
広告リクエストの公式用語ページ、広告リクエストCTR、カバレッジを別々に確認すると、似た名称でも分母と用途が異なることが分かります。
比較できない指標、比較を続けやすい指標
「比較不能」とは、数値を二度と見られないという意味ではありません。旧定義の値と新定義の値を一つの連続系列として扱い、増減率を実績変化と解釈できないという意味です。6月23日以後だけであれば、同じ定義の期間内で比較できます。
表3: 新旧で比較不能なもの
| 指標 | 比較不能になる理由 | 安全な代替 |
|---|---|---|
| Multiplex広告リクエスト総数 | グリッド単位から各広告単位へ変わった | 6月23日前後を別系列にする |
| Multiplexのマッチした広告リクエスト | 元となるリクエスト単位が変わった | 新定義期間内だけで推移を見る |
| Multiplexの広告リクエストCTR | 分母の広告リクエストが増える | クリック件数、インプレッションCTRも併記する |
| Multiplexのカバレッジ | 分母と一致件数の報告単位が変わる | インプレッション、推定収益、配信状態を併記する |
| 全形式合算の広告リクエスト | Multiplexの構成比により混入割合が違う | 広告フォーマットで分ける |
| 広告リクエスト当たり収益の独自値 | 分母が定義変更を受ける | インプレッションRPM、Page RPMを使う |
表4: 継続比較しやすいもの
| 指標 | 比較条件 | 使い方 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ページビュー | 同じサイト、期間、タイムゾーン | 閲覧量の変化を見る | GA4のviewsと混同しない |
| インプレッション | 同じ広告形式、サイト、期間 | 広告表示量の変化を見る | 表示定義の別更新がないか確認する |
| クリック | 同じフィルターと期間 | CTR変化の分子を確認する | 少数サンプルでは断定しない |
| 推定収益 | 同じ通貨、サイト、期間 | 金額の実績変化を見る | 確定収益ではない |
| Page RPM | 同じページビュー定義 | ページ閲覧当たりの収益性を見る | ページ構成の変化も影響する |
| インプレッションRPM | 同じインプレッション定義 | 広告表示当たりの収益性を見る | 広告形式構成をそろえる |
GoogleのRPM公式説明は、RPMを推定収益をページビュー、インプレッションなどで割って1,000倍した比較用の値としています。Page RPMとImpression RPMは分母が違うため、記事や記録では単に「RPM」と省略せず、どちらかを明記します。
レポートへ必ず注記する日付
注記する境界日は2026年6月23日です。公式お知らせには、この日から新しい報告方法を開始するとあります。日別レポートでは6月23日を新定義の初日として扱い、6月22日以前と分けます。
推奨する注記文は次のとおりです。
2026年6月23日からAdSense Multiplex広告の広告リクエストがグリッド単位からグリッド内の各広告単位へ変更された。広告リクエスト、マッチした広告リクエスト、広告リクエストCTR、カバレッジは新旧定義をまたいで直接比較しない。インプレッションと推定収益は同一条件で別途確認した。
表5: レポートの区間分け
| 区間 | 日付 | 定義 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 旧定義の終了日まで | 2026年6月22日以前 | Multiplexグリッド全体を一つのリクエストとして報告 | 旧定義系列 |
| 新定義の開始日 | 2026年6月23日 | グリッド内の広告を各リクエストとして報告 | 境界注記を付ける |
| 新定義の継続期間 | 2026年6月24日以後 | 新定義 | 新定義系列内で比較 |
| 前後比較用の例 | 6月16日から22日、6月24日から30日 | 7日対7日 | 23日を除外し、曜日構成の差も注記 |
| 月次レポート | 2026年6月 | 月内に二つの定義が混在 | リクエスト系を単一月合計で前年同月と比べない |
6月23日を必ず除外しなければならないという公式規則は確認できません。日付境界を明瞭にする実務上の例として、前7日と後7日を比べるときに境界日を外しています。アカウントのタイムゾーン、レポートの集計完了時刻、広告形式フィルターを記録し、日付のずれを推測で補いません。
レポートでは、指標だけでなくフィルターと内訳も固定します。Googleのレポート指標の選択は、内訳を追加するとグループ化に応じて指標値が再計算されると説明しています。レポートのフィルターも、広告ユニット、国、広告形式などで対象を絞れると説明しています。前後で条件が違えば、定義変更以外の差が混ざります。
架空の三サイトで計算する
以下は仕組みを理解するための架空データです。実在サイトの収益、Googleの平均値、将来予測ではありません。通貨は説明用の円とし、数値は計算を分かりやすくするために丸めています。
架空サイトA「料理ノート」
サイトAは、1日100回のMultiplexグリッド表示があり、各グリッドに4スロットあると仮定します。すべてのスロットで広告が表示され、合計400インプレッション、推定収益800円、クリック8件が変わらない例です。
表6: サイトAの変更前後
| 指標 | 変更前 | 変更後 | 表面上の変化 | 正しい読み方 |
|---|---|---|---|---|
| Multiplex広告リクエスト | 100 | 400 | 300増、4倍 | 計数単位の変更で説明できる |
| マッチした広告リクエスト | 100 | 400 | 300増、4倍 | この例では全スロットに広告が返った |
| インプレッション | 400 | 400 | 変化なし | 実際の広告表示量は横ばい |
| 推定収益 | 800円 | 800円 | 変化なし | 収益は横ばい |
| クリック | 8 | 8 | 変化なし | クリック量も横ばい |
| 広告リクエストCTR | 8.0% | 2.0% | 6ポイント低下 | 分母変更による見かけの低下 |
計算例1: 変更前の広告リクエストCTRは、8クリック ÷ 100リクエスト × 100 = 8.0%です。
計算例2: 変更後の広告リクエストCTRは、8クリック ÷ 400リクエスト × 100 = 2.0%です。
計算例3: インプレッションCTRをクリック ÷ インプレッションとすると、変更前後とも8 ÷ 400 × 100 = 2.0%です。
計算例4: インプレッションRPMは、800円 ÷ 400インプレッション × 1,000 = 2,000円で、変更前後とも同じです。
この例では広告リクエストCTRだけを見ると4分の1に落ちています。しかし、クリック、インプレッション、推定収益、インプレッションRPMは同じです。「広告の魅力が落ちた」「収益性が悪化した」という因果はデータから導けません。
架空サイトB「週末DIY」
サイトBは、変更前も変更後も100回のグリッド機会があり、各グリッドに6スロットあると仮定します。変更前の旧定義では100リクエスト、変更後の新定義では600リクエストです。変更後は540スロットに広告が返り、インプレッション540、推定収益1,080円、クリック9件とします。
表7: サイトBの変更前後
| 指標 | 変更前 | 変更後 | 表面上の変化 | 注記 |
|---|---|---|---|---|
| 広告リクエスト | 100 | 600 | 6倍 | 新旧比較不可 |
| マッチした広告リクエスト | 90 | 540 | 6倍 | 新旧比較不可 |
| カバレッジ | 90.0% | 90.0% | 同じ | 数値一致だけで互換とはしない |
| インプレッション | 540 | 540 | 横ばい | 表示量は横ばい |
| 推定収益 | 1,080円 | 1,080円 | 横ばい | 収益は横ばい |
| クリック | 9 | 9 | 横ばい | クリックは横ばい |
計算例5: 変更前カバレッジを単純化して90マッチ ÷ 100リクエスト × 100 = 90.0%とします。
計算例6: 変更後カバレッジは540マッチ ÷ 600リクエスト × 100 = 90.0%です。
計算例7: インプレッションRPMは1,080円 ÷ 540 × 1,000 = 2,000円で、変更前後とも同じです。
計算例8: 変更後の未一致リクエストは600 − 540 = 60件です。変更前の未一致10件と絶対件数を比べて「未配信が6倍」とは断定しません。リクエスト単位そのものが6倍になったためです。
カバレッジが偶然同じ90%でも、新旧の分子と分母は異なる報告単位です。比率が同じことは、旧定義と新定義が常に互換である証明になりません。グリッド内の埋まり方によっては比率も変わり得るため、公式が示していない変化を一般化しません。
架空サイトC「地域イベント案内」
サイトCではMultiplexと通常のディスプレイ広告を併用していると仮定します。通常広告のリクエスト500件は変わらず、Multiplexは旧定義100件から新定義400件に変わります。全形式合算では600件から900件へ増えますが、ページビュー1,000、インプレッション1,200、推定収益2,400円は横ばいです。
表8: サイトCの合算レポート
| 指標 | 変更前 | 変更後 | 変化率 | 読み方 |
|---|---|---|---|---|
| 通常広告リクエスト | 500 | 500 | 0% | 実績横ばい |
| Multiplex広告リクエスト | 100 | 400 | 300%増 | 定義変更の影響 |
| 全広告リクエスト | 600 | 900 | 50%増 | Multiplex混入で合計が動く |
| ページビュー | 1,000 | 1,000 | 0% | 閲覧量横ばい |
| インプレッション | 1,200 | 1,200 | 0% | 表示量横ばい |
| 推定収益 | 2,400円 | 2,400円 | 0% | 収益横ばい |
計算例9: 全広告リクエストの増加率は、(900 − 600) ÷ 600 × 100 = 50.0%です。
計算例10: ページ当たり広告リクエストは、変更前が600 ÷ 1,000 = 0.6、変更後が900 ÷ 1,000 = 0.9です。この上昇を広告配置増と断定できません。
計算例11: Page RPMは2,400円 ÷ 1,000ページビュー × 1,000 = 2,400円で、変更前後とも同じです。
計算例12: インプレッションRPMは2,400円 ÷ 1,200インプレッション × 1,000 = 2,000円で、変更前後とも同じです。
サイトCは、全形式合算レポートでも影響が出る例です。Multiplexだけを使っていなくても、合算値にMultiplexが含まれるなら広告リクエストの基準線が動きます。広告フォーマットで分けずに全体だけを見ると、通常広告までリクエストが増えたように誤読します。
三サイトから分かること
表9: 架空三サイトの判定
| サイト | リクエスト | インプレッション | 推定収益 | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| 料理ノート | 4倍 | 横ばい | 横ばい | CTR低下は分母変更で説明できる |
| 週末DIY | 6倍 | 横ばい | 横ばい | 未一致件数の増加を障害と断定しない |
| 地域イベント案内 | 全体で50%増 | 横ばい | 横ばい | 合算値にもMultiplexの定義変更が混ざる |
三つとも「リクエスト増、表示回数横ばい、収益横ばい」です。これはGoogle公式が示す「広告リクエストは増える」「合計インプレッションと収益は大きく変化しない可能性が高い」という方向と整合する説明例です。ただし、すべての実アカウントが必ずこの数値になるという意味ではありません。
実データでインプレッションや収益も変わっている場合は、定義変更だけで説明を終えません。同時に、トラフィック、広告形式構成、国、端末、ポリシー、広告配信制限、無効トラフィック、季節性、サイト変更、計測欠損を調べます。
収益やCTRが変わったと断定する前の確認順
1. 比較期間が6月23日をまたぐか
最初に日付を確認します。6月23日をまたぐなら、広告リクエスト系は定義変更の影響を受けます。月次だけでなく、週次、前年同週、移動平均にも境界が混ざっていないか確認します。
2. 対象サイトでMultiplexを使っていたか
広告ユニットとAuto adsの両方を確認対象にします。ただし、本記事の作業として設定画面へログインしたり変更したりはしません。手元の変更ログ、既存の広告コード記録、エクスポート済みレポートで確認できなければ「使用状況未確認」と記録します。
3. レポートのフィルターと内訳が同じか
サイト、広告フォーマット、広告ユニット、国、端末、期間、タイムゾーンをそろえます。広告形式を全体合算にしたままでは、サイトCのようにMultiplexの定義変更が全体へ混ざります。
4. ページビューが変わったか
アクセス量が増えたという仮説を確認します。広告リクエストの増加だけではページ閲覧増を示せません。AdSenseのページビューと、GA4など別製品のviewsやsessionsは定義が異なるため、名称を置き換えません。
5. インプレッションが変わったか
広告が実際に表示された量を確認します。リクエストが4倍でもインプレッションが横ばいなら、表示機会の実増ではなく報告単位変更が主要候補です。
6. 推定収益とRPMが変わったか
推定収益、Page RPM、インプレッションRPMを分けます。収益横ばいで広告リクエスト当たりの独自収益だけが低下した場合、その分母は新旧で比較できません。
7. クリック件数を確認してからCTRを見る
広告リクエストCTRが低下しても、クリックが横ばいなら分母変更の影響を疑います。インプレッションCTRも併記します。ただし、クリックが少ない期間は数件で比率が大きく動くため、短期の偶然を因果にしません。
8. カバレッジの分子と分母を分ける
カバレッジ低下だけで広告配信障害とは決めません。マッチしたリクエスト、総リクエスト、インプレッション、ポリシー状態を合わせて見ます。Googleの広告カバレッジ問題の診断は、配信制限、ads.txt、ポリシー、クローラー、無効トラフィック、広告設定、市場動向など複数の要因を挙げています。
9. Googleの障害情報を確認する
同時期のレポート障害や配信障害が疑われる場合は、Google Ads Status Dashboardを確認します。障害記録がないことだけで自サイト固有の問題がないとは証明できませんが、公式の既知障害を先に切り分けられます。
10. 同時変更と外部要因を記録する
広告位置、Auto ads、同意管理、テーマ、記事数、流入元、国構成、端末構成を同時に変えていないか確認します。公式がMultiplexの計数変更と収益変動の因果を示していない部分は、「可能性がある」だけで埋めず、未確認として残します。
分析を他のAIへ依頼するときは、数字だけを渡さず対象期間、定義境界、フィルター、広告形式を固定します。AIへ作業を任せる前の確認ガイドとAIタスク依頼書の作り方が、比較条件を抜けなく伝える助けになります。
誤った結論と安全な書き換え
表10: 判定文の比較
| 観測 | 避ける断定 | 証拠に合う書き方 |
|---|---|---|
| 6月23日からリクエスト4倍 | アクセスが4倍になった | Multiplexの計数変更後にリクエストが4倍になった |
| 広告リクエストCTRが低下 | 広告がクリックされなくなった | 分母変更を含むため、クリックとインプレッションCTRを確認する |
| カバレッジが低下 | Googleが広告を返さなくなった | 定義変更、マッチ件数、配信状態を切り分ける |
| リクエスト当たり収益が低下 | 広告単価が下がった | 新旧で分母が違うため当該独自指標は比較しない |
| インプレッション横ばい | 何も変わっていない | 表示量は横ばいだが、他指標は個別確認が必要 |
| 推定収益横ばい | 将来も同額が続く | 比較期間の推定収益は横ばいだった |
| 収益が同日に低下 | 集計変更が収益を下げた | 同日性だけでは因果を確定できない |
断定の境界については、AIのハルシネーション対策とAI生成記事に機械の門番を付ける方法も関連します。公式が述べた範囲、架空計算で示した範囲、実アカウントで観測した範囲を混ぜないことが基本です。
保存しておくレポート項目
表11: 再検証できる記録
| 項目 | 記録内容 | 目的 |
|---|---|---|
| report_date | レポート取得日 | 後日の仕様変更と区別する |
| period_start / period_end | 開始日と終了日 | 境界日の混入を確認する |
| definition_version | old / new / mixed | 新旧定義を明示する |
| site | 対象サイト | 複数サイト混入を防ぐ |
| ad_format | Multiplex、その他、全体 | 定義変更の影響範囲を確認する |
| ad_unit | 対象広告ユニット | 配置ごとの変化を見る |
| page_views | ページビュー | 閲覧量を見る |
| ad_requests | 広告リクエスト | 新旧を別系列で保存する |
| matched_requests | マッチした広告リクエスト | カバレッジの分子を確認する |
| impressions | インプレッション | 表示量を見る |
| clicks | クリック | CTRの分子を見る |
| estimated_earnings | 推定収益 | 金額変化を見る |
| page_rpm | Page RPM | ページ単位の効率を見る |
| impression_rpm | インプレッションRPM | 表示単位の効率を見る |
| note | 6月23日変更、障害、サイト変更 | 因果の混同を防ぐ |
CSVや表計算へ保存する場合は、0と欠測を分けます。レポートが取得できなかった日を0円、0インプレッションとして補完すると、実際のゼロと計測不能が混ざります。構造化データの受け渡しにはAIの構造化JSON出力ガイドが参考になります。機密を含むエクスポートをAIへ渡す前にはAIに機密データを渡すときの安全策も確認してください。
内部リンクで次に読む記事
- AdSenseの複数更新を横断して確認するなら、AdSense 2026年7月更新の影響と確認手順。
- CPC、Page RPM、CTRを分けて原因を調べるなら、AdSense CPC変化の原因を検証する方法。
- 事実と推測を分ける基本は、AIのハルシネーション対策。
- 記事の出典と形式を機械検査するなら、AI生成記事に機械の門番を付ける方法。
- 公開前下書きの確認工程は、AI下書きの確認手順。
- AIへ分析条件を渡す準備は、AIタスク依頼書の作り方。
- 作業権限の境界を決めるなら、AIエージェントの変更権限マトリクス。
- 機密データの扱いは、AIに機密データを渡すときの安全策。
- 表形式を再利用可能にするなら、AIの構造化JSON出力ガイド。
- 記事サイトの基盤を比較するなら、WordPressと静的サイトの比較。
これらはすべてリポジトリ内に実在する記事パスです。本記事はAdSense設定の変更手順を目的とせず、レポートの読み違いを防ぐことに絞っています。
FAQ
Q1. 2026年6月23日に広告リクエストが急増したら異常ですか
Multiplexを使っている場合、公式の計数変更で増えることが予告されています。まず広告フォーマットでMultiplexを分離し、インプレッション、推定収益、ページビューを確認します。急増だけでは異常とも成長とも断定しません。
Q2. 広告リクエストが4倍ならPVも4倍ですか
そうとは限りません。広告リクエストとページビューは別指標です。グリッド内に4広告がある架空例では、PV横ばいでもリクエストが4倍になります。
Q3. インプレッションも4倍になりますか
Google公式は、合計インプレッションには大きな変化が見られない可能性が高いと説明しています。実アカウントでは同じフィルターでインプレッションを確認し、結果を推測で置き換えません。
Q4. 収益もリクエスト数に比例して増えますか
比例するとはいえません。公式は収益にも大きな変化が見られない可能性が高いと説明しています。推定収益とRPMを直接確認してください。
Q5. 広告リクエストCTRが下がったのは悪化ですか
新定義では分母の広告リクエストが増えるため、クリック数が同じでも低下し得ます。クリック、インプレッションCTR、インプレッションRPMを併記して判断します。
Q6. カバレッジが下がったら配信障害ですか
定義変更をまたぐ期間では即断できません。マッチしたリクエスト、総リクエスト、インプレッション、推定収益、ポリシー状態、公式障害情報を順に確認します。
Q7. 6月の月次レポートを5月と比べてよいですか
インプレッションや推定収益は条件をそろえて確認できますが、6月の広告リクエスト系は旧定義と新定義が混在します。6月23日を注記し、広告リクエスト、広告リクエストCTR、カバレッジは単純な月次増減率にしません。
Q8. 6月23日のデータは削除すべきですか
削除する必要はありません。新定義の初日として保存し、境界日だと注記します。前後7日を対称に比べる実務例では境界日を外せますが、これはGoogle公式が削除を求める規則ではありません。
Q9. Multiplexを使っていなければ無関係ですか
対象期間に広告ユニットとAuto adsのどちらでもMultiplexを使っていないと確認できれば、直接影響は限定的と考えられます。使用状況を確認できない場合は、無関係と断定せず未確認とします。
Q10. 全広告形式の合計レポートも影響しますか
Multiplexが合算に含まれていれば影響します。サイトCの例では通常広告が横ばいでも、全広告リクエストが50%増えます。広告フォーマットで分けて確認してください。
Q11. マッチした広告リクエストの増加は広告需要の増加ですか
新旧で計数単位が変わるため、それだけでは需要増を示しません。新定義期間内で、インプレッション、推定収益、RPMなどと合わせて確認します。
Q12. リクエスト当たり収益を比較してもよいですか
6月23日をまたぐ比較には向きません。分母の広告リクエストが別定義だからです。Page RPMまたはインプレッションRPMを使い、分母を明記します。
Q13. Page RPMとインプレッションRPMは同じですか
違います。Page RPMは推定収益をページビューで割って1,000倍し、インプレッションRPMは推定収益をインプレッションで割って1,000倍します。
Q14. 収益が同じ日に下がったら今回の変更が原因ですか
同じ日というだけでは因果を確定できません。Google公式は今回の変更で収益が大きく変わるとは説明していません。トラフィック、広告形式、国、端末、配信制限、ポリシー、無効トラフィック、市場動向、サイト変更を確認します。
Q15. 収益が同じ日に上がったら今回の変更の効果ですか
同様に断定できません。計数変更と収益上昇が同日に見えても、公式が因果を示していないためです。「同期間に上昇を観測した」と「変更が上昇させた」を分けます。
Q16. CTRはどのCTRを使えばよいですか
質問に合わせます。広告リクエストCTRはリクエストを分母にするため、今回の新旧比較には不向きです。インプレッションCTRを併記し、クリック件数も確認します。
Q17. 公式の変更日はどこで確認できますか
AdSense公式お知らせと、Multiplex広告リクエスト集計変更の個別ヘルプで2026年6月23日と確認できます。Sourcesに両方のURLを掲載しています。
Q18. Multiplexはどのような広告ですか
Google公式は、ページ内にグリッドとして表示されるネイティブ広告と説明しています。広告ユニット版とAuto adsの説明は公式ヘルプで確認できます。
Q19. 設定を変更すれば数字を元に戻せますか
本記事は設定変更を勧めていません。今回の発表は報告方法の変更であり、旧定義へ戻す設定があるとは確認できません。比較方法を新旧で分けるのが安全です。
Q20. 過去データを新定義へ換算できますか
グリッド当たりの実スロット数、マッチ状況、期間中の構成が完全に分からなければ正確な換算はできません。固定倍率を推測で掛けず、旧定義と新定義を別系列として保存します。
Q21. グリッドが常に4枠なら過去値を4倍すればよいですか
単純化した架空例では近い形になりますが、実データの各グリッド、広告の返却、広告形式構成が一定とは限りません。公式は一律の換算式を示していないため、4倍換算を確定値にしません。
Q22. 推定収益と確定収益は同じですか
同じとは限りません。本記事で扱うレポート値は推定収益です。RPM公式説明も推定収益を使う比較指標で、実際に確定した受取額そのものではないと説明しています。
Q23. 一週間見れば結論を出せますか
定義変更の発見には使えますが、収益変化の因果判定には短い場合があります。7日、14日、28日など同じ曜日構成で記録し、クリック数と外部要因を確認します。
Q24. AdSenseへログインせず確認できることはありますか
公式仕様、変更日、指標定義は公開ヘルプで確認できます。自分のアカウントがMultiplexを使っているか、実際の数値がどう動いたかは、手元の記録または本人が安全に取得したレポートが必要です。
Q25. AIへレポート分析を任せてもよいですか
対象期間、タイムゾーン、広告形式、指標定義、6月23日の境界を明記し、個人情報や機密を除いて渡します。AIの説明も公式定義と計算で再検証し、原因を推測で補わせません。
まとめ
2026年6月23日、AdSense Multiplex広告の広告リクエストは、グリッド単位からグリッド内の各広告単位へ変わりました。そのため、広告リクエスト、マッチした広告リクエスト、広告リクエストCTR、カバレッジは、変更前後を同じ定義の時系列として直接比較できません。
一方、ページビュー、インプレッション、クリック、推定収益、Page RPM、インプレッションRPMは、フィルター、期間、タイムゾーン、広告形式などをそろえたうえで実績確認に使えます。リクエストだけが増え、インプレッションと収益が横ばいなら、まず計数変更として読みます。
収益やCTRの増減を断定する前に、日付、Multiplex使用状況、フィルター、ページビュー、インプレッション、推定収益、RPM、クリック、CTR、カバレッジ、障害、同時変更の順で確認します。公式が示していない因果は推測で埋めず、「観測したこと」「公式が説明したこと」「未確認」を分けて残します。
Sources
確認日: 2026-07-24。仕様、日付、指標定義はGoogle公式一次情報を確認しました。リンク先の内容は更新される場合があるため、閲覧時点の記載をご確認ください。
Google AdSense公式
- AdSense Announcements
- Change to ad request reporting for Multiplex ad units
- Ad request
- Ad request CTR
- Coverage
- (Unmatched ad requests) is displayed in my reports
- Revenue per thousand impressions (RPM)
- Page RPM
- Impression RPM
- Pick the metrics for your report
- Filter your report data
- About native ads
- About Multiplex Auto ads
- Troubleshoot ad coverage issues
- AdSense Management API Metric
- Updated impressions metrics for AdSense
- Google Ads Status Dashboard
需要の存在を確認した公開ページ
次のページは公式定義の根拠には使用せず、Multiplexの計数変更、RPM低下、表示と収益の関係を調べる需要が公開Web上に存在することの証拠としてのみ掲載します。個別投稿の原因推測や数値を本記事の事実として採用していません。
- Google multiplies AdSense ad request counts for Multiplex units from June 23
- AdSense publisher trying to figure out what is going on with RPM
- Seeing a sudden huge drop in Ad RPM
本記事の執筆にあたり、AdSense設定変更、ログイン、広告コード変更、公開、デプロイ、git操作、課金は行っていません。